2024年12月に実施したアドベントカレンダー企画のまとめ記事です。各記事の印象深かった点などをまとめています。記事探しにお役立てください。
はじめに
2024年12月にアドベントカレンダー企画を実施して、社内外の多くの方にブロックチェーンビジネスに関する記事を執筆していただきました。アドベントカレンダーの全記事をカテゴリ別に分けたうえ、各記事の印象深かったポイントも筆者なりにまとめていますのでご参考ください。
気になる記事に出会えましたら、ぜひ実際に読んでみていただけると嬉しいです!
全記事一覧
カテゴリ1:ご寄稿いただいた記事
- (1)【速攻解説】2024年→2025年のデジタル証券(ST)動向総括 -税制改正ポイント&トークン化アセット拡張の”号砲”とは-(Progmat様)
- (2)ブロックチェーンを活用したCBDC・貯蓄国債システムの最新動向(ソラミツ様)
- (3)ロボットが、経済的に自立する世界 〜ブロックチェーンとの融合と企業向けビジネスの可能性〜(ドーナッツ ロボティクス様)
- (4)高デザイン性を活用したプライベートチェーンの産業利用の可能性(インフォメーション・ディベロプメント様)
- (5)次世代DLTによるシステム開発ポイントについて(シーエーシー様)
カテゴリ2:ブロックチェーンビジネス解説
- (6)8年前のブロックチェーン予測を振り返る(これからの8年のヒント)
- (7)-(12)ブロックチェーンビジネスの本質と事業化のコツ(6記事)
- (13)-(14)分散台帳技術を活用した社会課題の解決(2記事)
- (15)分散型金融の未来とその課題
カテゴリ3:業界動向の解説
カテゴリ4:技術記事
カテゴリ5:その他
全記事の要約とおすすめポイント
カテゴリ1:ご寄稿いただいた記事
まず、ブロックチェーン関連企業の皆様にご協力いただいた記事を紹介していきます。
各企業様の実際のお取り組みをベースにしているので、あまりネット上ではお目にかかれない「実践に基づいた知見や情報」が多く詰まっていたような印象でした。(実際にPV数の高い記事も多かったです!)
(1)【速攻解説】2024年→2025年のデジタル証券(ST)動向総括 -税制改正ポイント&トークン化アセット拡張の”号砲”とは-(Progmat様)
2024年のProgmat様のお取り組みとデジタルアセット業界動向やを解説した記事です。
現在、不動産STが先行していますが、映画製作委員会への出資持分など、徐々にトークン化の対象アセットが拡張されている点が非常に興味深く、今後さらに動産や海外アセットなど新しい商品に広がる可能性が示唆されていました。
税務・法務の面での課題がボトルネックとなる中、これらをどう乗り越えていくかという視点で非常にわかりやすい解説がされています。仮想通貨やNFTとは異なり、デジタル証券は高度な金融知識や法的整備を求められるため、一つ一つ課題を解決しながら市場を形成している様子がリアリティがあり印象的でした。
デジタルアセットの成長性や課題が明確に理解したい方におすすめの記事だと思います!
(2)ブロックチェーンを活用したCBDC・貯蓄国債システムの最新動向(ソラミツ様)
ソラミツ様によるCBDCに関するお取り組みや今後の目指す方向性について解説した記事です。
日本ではCBDC関連の実用化がまだ遠い未来に感じられるかもしれませんが、ソラミツ様はカンボジアなどアジア各国において、すでに大きな成果を挙げています。
その代表例が、1,000万人以上が利用する「バコン」と呼ばれる決済システムです。ブロックチェーンを用いて大規模な実用化されているシステム運用に対する所感や分析は非常に興味深い内容でした。ソラミツ様ならではの視点で、今後の展望や技術革新についても詳しく触れられています。
CBDCの現在地に関心がある方には必読の記事です!
(3)ロボットが、経済的に自立する世界 〜ブロックチェーンとの融合と企業向けビジネスの可能性〜(ドーナッツ ロボティクス様)
AI活用サービスを開発されているドーナツロボティクス様による、AIロボットとブロックチェーンの融合について考察した記事です。
「“自律”的なAIロボットは、経済的に”自立”することになるだろう」というトピックから始まり、一気に惹きつけられたのですが、人間と同等に稼ぐことができるようになるロボットの特徴はどんなものがあるのか?という点が特に印象的でした。
ブロックチェーンの視点から見ると、まさに「トークンエコノミー」に直結する話で、全く違う文脈から見ると面白い発見がありました。
ロボット業界はあまり追っていない方にとっても丁寧に解説されていて分かりやすい記事でした!
(4)高デザイン性を活用したプライベートチェーンの産業利用の可能性(インフォメーション・ディベロプメント様)
セキュリティやAI関連に強みをもつ業務管理システムの開発・運用を行っているインフォメーション・ディベロプメント様による産業利用とブロックチェーン活用の考察記事です。
産業システムを開発してきた技術者目線で、パブリック・プライベートチェーンの違いを整理した上で、産業利用におけるビジネスメリットや技術メリットの整理もしています。
アイデア例とともに、プライベートチェーンの意義を考察いただいている点が印象的でした。
エンジニアやアーキテクトの方にも見ていていただきたい記事だと感じました!
(5)次世代DLTによるシステム開発ポイントについて(シーエーシー様)
Cordaを始めブロックチェーン事例の豊富な開発実績をもつシーエーシー様による、次世代DLTに関する開発の勘所を俯瞰的に整理いただいた解説記事です。
「ブロックチェーン技術の現在地」から始まり、「コンソーシアム形成のジレンマ」のようなエンタープライズ・ブロックチェーンによくある課題の整理、匿名性の観点で技術基盤の比較など、重要な視点が綺麗にまとまっていて分かりやすかったです。
「基盤選定は最重要で、絶対にクリアすべき要件を見極め、コンソーシアムで合意をとり進めるのが重要」という話が特に印象的でした。基盤の変更ができずに中断せざるを得ないプロジェクトの話もあったりするので、筆者的にはぐっと刺さるような内容でした。
プライベートチェーン(エンタープライズブロックチェーン)の現在地や必要な観点などを知りたい方には、おすすめしたい記事です!
カテゴリ2:ブロックチェーンビジネス解説
カテゴリ2〜5は、SBI R3 JapanおよびSBI HDのメンバーが執筆した記事を紹介します。
このカテゴリ2では、プライベートチェーンをビジネスに活用していく上で、知っておいてほしい考え方や観点をお伝えしている記事をまとめています。
(6)8年前のブロックチェーン予測を振り返る(これからの8年のヒント)
弊社代表の藤本が2016年に予測した業界動向の振り返り記事です。これまでの実績や経験を踏まえた将来予測もしています。「パブリック・プライベートのハイブリット化」や「産業界のトークンエコノミー」など独自の観点の解説が読み応えがありました!
(7)-(12)ブロックチェーンビジネスの本質と事業化のコツ(6記事)
「企業にとっての分散化とは?」「企業にとってのBC活用の利点は?」「ビジネスモデルのパターンは?」など、弊社がこれまで実施してきた「ブロックチェーンビジネス勉強会」という講義をシリーズ記事として公開しました。各章を順番に読んでいただければ、ブロックチェーンビジネスについて考えるためのベースとなる知識を学習できます。特に新規事業を考えている方におすすめの記事です!
(13)-(14)分散台帳技術を活用した社会課題の解決(2記事)
1記事目では「滑らかな流動性」、2記事目では「デジタルトラスト」に焦点を当て、「そもそも、現時点の社会課題はなんなのか」、「解決した先にはどのような理想形があるのか」について独自の考察がされています。どちらの記事も、目からウロコ的な発見があり面白かったです!
(15)分散型金融の未来とその課題
デジタルアセット業界を題材に分散型金融のあり方について触れた記事です。既存金融の人たちがどのような分散型金融の未来を想定しているのか、どのような課題をクリアしていかなければならないのか、について学べる記事です。パブリックチェーンのいうDeFiとも異なり、既存金融の人たちがどのようなことを考えているのか分かるので、金融業界に関わりの少ない方にもおすすめの記事です!
カテゴリ3:業界動向の解説
カテゴリ3では、特定の業界におけるブロックチェーンの活用事例や活用トピックを解説した記事をまとめています。
(16)Euroclearによるデジタル証券発行サービスの意義
国際証券決済機構や中央証券預託機関(日本でいう「ほふり」)に関連する証券業界の事例記事です。これらの機関がそもそもどういうものなのか、という点から丁寧に解説していますので、この業界以外の方にも読んでいただける内容です。Euroclearのデジタル証券発行はインパクトが大きくもので、世界に及ぼす影響にも触れています。
(17)Verifiable Credentials × ブロックチェーン
分散型IDやTrusted Webに関連する証明書関連のSBIも関わる公的な取り組みの紹介です。そもそもの活動意義から、課題の整理、ブロックチェーンで何をもたらすのか、など順を追って丁寧に解説しています。
カテゴリ4:技術記事
カテゴリ4ではCordaをはじめとした技術の実装方法やTipsなどを書いた記事をまとめています。
(18)-(19)Cordaの始め方
Corda5のクイックスタートガイドを改めてまとめ直しました。エンジニアにとってまず触ってみることは非常に大切なことなので、本記事を通じてCordaがどのようなものか試してみていただけると嬉しいです!後半は簡易的な画面構築も含めて、CorDappとしてお試しいただける内容になっています。
(20)EthereumやSolanaとの比較から、Cordaの先進性を再考してみた
パブリックチェーンとCordaのの技術的特徴を比較した記事です。コンポーサビリティやステートレス設計、柔軟性の違いなど、独自の観点があり興味深い内容でした。パブリックチェーンに詳しい方には特におすすめの記事です!
(21)token selection workerのsharding機能
マイクロサービスアーキテクチャを採用しているCorda5によるtoken制御に関する技術記事です。トークン消費の順序性を確保するため、token selection workerは排他制御を行っていますが、複数のwokerが稼働している場合リトライ処理が発生し、パフォーマンス低下を招く可能性があります。この現象を回避するためのロードバランシング機能(sharding)について解説しています。Cordaエンジニアに特におすすめの記事です!
カテゴリ5:その他
最後にその他の記事について紹介します。
(22)ブロックチェーン業界で働くためのヒントと私の経験談
ブロックチェーン業界について詳しい弊社メンバーによる、ブロックチェーン関連事業やその事業に求められている人材像についてまとめた記事です。例えばエンジニアの場合でも、ブロックチェーン業界で求められるスキルなどが通常のIT企業とは少し異なる部分などもあり印象的でした。ブロックチェーン業界の事業や業務について知りたい方におすすめの記事です!
(23)スクラムのスプリント・レトロスペクティブ(リモート)
ブロックチェーンに携わっていると、実証実験(PoC)について企画したり支援したりする機会が多く、ウォーターフォール方式よりアジャイル(スクラム)方式の開発を行うことが多いです。本記事はスクラム開発の「振り返り」の部分について注目しており、スクラム開発に詳しい弊社メンバーが、その方法論やポイントをまとめています。チームビルディングとしても参考になる内容が多く、開発リーダーや管理系の業務を行う方に特におすすめの記事です!
さいごに
記事紹介は以上です。今回のアドベンドカレンダー企画では、社内外の多くの方にご協力いただき、様々な観点での記事を執筆いただき誠にありがとうございます。この場を借りてお礼申し上げます。
多くの企業がこれまで産業界・金融界が培ってきたものをベースに「地に足をついたブロックチェーン活用」を進めています。プライベートチェーンの知見はパブリックチェーンに比べると有用な情報がまだまだ出回っていないのが現状ですが、どの事例でも抱えている社会課題を解決するためにロジカルに真剣にブロックチェーンビジネスを考えていて、だからこそ内容としても非常に面白い話が多いです。
今後も、できる限り各業界の背景や経緯にも触れつつ、ブロックチェーン・ビジネスの最前線について情報発信してまいりたいと思います。
<ご質問・ご要望の例>
- Corda Portalの記事について質問したい
- ブロックチェーンを活用した新規事業を相談したい
- 企業でのブロックチェーン活用方法を教えて欲しい 等々
SBI R3 Japan ビジネス推進部 🐾
投信PdM/不動産PdM/Cordaトレーニング/Blockchain Workshop運営など
シュナとスマートホームが好き