当社の定期的に行うCordaビジネスイベント。今回は、ステーブルコン、CBDCなどのステーブルコインに着目し、トレンドの解説やさまざまな事例を紹介した。
はじめに
2023年7月3日に行われた『ステーブルコイン海外事例とデジタル通貨の潮流』のイベントレポートをお送りします!
本イベントでは 昨今、話題となり続けているステーブルコインの事例紹介や世界におけるデジタル通貨の潮流についてお話しさせていただきました!
この記事では各発表の概要を述べさせていただきます。
①デジタル通貨の潮流
弊社セールス&マーケティング部長である廣瀬より、デジタル通貨の潮流についてお話させていただきました。
デジタル通貨の分類分け
上記の図はCBDC、ステーブルコイン、暗号資産、電子マネーをマッピングしたものになります。縦軸をホールセール、リテールに分類。横軸をパーミッション型、パーミッションレス型で分類しています。
R3のフォーカス領域は主にパーミッション型でホールセール事業者のセグメントになります。ここのセグメントで中央銀行あるいは商業銀行に対して法定通貨を担保とするCBDCあるいはステーブルコインの発行流通を含むライフサイクル管理を行います。
次に世界のデジタル通貨のトレンドについて紹介します。
CBDCプロジェクト推移
現在、各国の現金の利用率は年々減少しており、2020年に始まったパンデミックをきっかけにデジタル決済が台頭してきました。
この間にCBDCに関する研究開発の取り組みは年々進んおり、2023年3月末の時点で世界のGDPの90%以上を占める91ヵ国がCBDCソリューションを検討しています。
また、国際決済銀行(BIS)の調査によると、中央銀行の93%が既に中央銀行デジタル通貨(CBDC)に関する研究を行っており、2030年までに15のリテール型CBDCと9つのホールセール型CBDCが流通する可能性があるとの見解を発表しています。
また、CBDCを実現するためにCordaは多くの中央銀行で使用されています。
Cordaを利用したCBDC
最近ではCBUAE(アラブ首長国連邦中央銀行)がR3・G42 Cloud、およびClifford Chanceと協力して、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の実施戦略を開始しています。
CBUAE
CBUAEの事例としては、発行と流通を分ける2層モデルとなっており、CBUAEが発行及び償還を行います。チャネルは3種類 — mBridge(中国、タイ、香港、UAE)、インド二国間、国内となっております。
またカザフスタン中央銀行はBNBチェーンでCBDCを構築しています。発行はデジタル・テンゲネットワーク上で行い、流通をBNBチェーン上で行うという画期的な仕組みとなっております。
デジタル・テンゲDeFI決済
今後、CBDCに対する取り組みはますます進むことが想定されます!
②地域と人をつなぐ情報プラットフォームまちのわのご紹介
「株式会社まちのわ」から岡田様に登壇していただき、地域と人をつなぐ情報プラットフォーム「まちのわ」について紹介して頂きました。
「まちのわ」の概要
株式会社まちのわは、地域と人をつなぐ情報プラットフォームを提供する企業です。地域と人々をつなぐ新たな方法として、まちのわは地域情報プラットフォームを活用し、デジタル地域通貨(デジタル商品券)の発行・運用をするサービスをはじめとした事業を展開しています。
現在、提供準備中の地域を含めると計52カ所もの地域で導入実績があります。
サービス導入地域
まちのわは「地域に人とお金を循環させる」ことを通じて、地域社会の活性化を図っています。まちのわの地域の経済活性化のイメージとして主に2つの手段があります。
・地域外から来る人たちに「その地域で消費」してもらう
地域外からビジネス、観光などの目的で地域を訪れる一時滞在者の人たちが地域内で滞在期間中に行う経済活動を「地域」で行うことで、「地域」に経済価値が蓄積される。
・地域に住む人たちに「地域の中で消費」してもらう
地域住民の日常的な生活の維持を含む経済活動を「地域」で行うことで、地域の中小零細企業に人とお金を回すことができ「地域」に経済価値が蓄積される。
まちのわの取り組みは、地域社会の活性化に寄与しています。地域通貨の導入やデジタル化の推進により、地域の経済を活性化させ、地域社会を維持するための新たな方法を提供しています。これからもまちのわは、地域と人をつなぐ情報プラットフォームの提供を通じて、地域社会の発展に貢献していくでしょう。
③ステーブルコインの海外事例とデジタル通貨サンドボックスのデモ
弊社社員の中澤よりステーブルコインの海外事例の紹介及びデジタル通貨のサンドボックスについてのデモの紹介させて頂きました。
昨今、デジタル通貨に対する動きが加速化しております。その中で我々はなぜデジタル通貨に取り組む必要があるのでしょうか?
主な理由としては以下の3つの理由が挙げられます。
1.ステーブルコインの法制度が実際整いつつある
日本の法制度(2023年6月1日の改正資金決済法施行により、法定通貨を裏付けとするステーブルコインが発行可能になる)の変更により、今まで数多くの障害があったステーブルコインの法制度が整いつつあります。
2.分散型金融(Defi, Web3)と既存金融ビジネスの接点が生まれつつある
・パブリックブロックチェーンのDefi、Web3の盛り上がり・クロスチェーン技術の発達(みずほR&TとDatachainさんと6月に共同で発表した調査研究)
・CBDCとDefiの接続(カザフスタン)
3.各国で実用化に向けて取り組まれているCBDCの発行・流通の担い手は民間金融機関や決済事業者が想定される
各国で取り組まれているCBDCプロジェクトは2階層モデルが主流に!
「民間金融機関や決済事業者がデジタル通貨を発行する未来における、新たなビジネスチャンスや既存事業は存続可能か」ということを今後検討する必要があります。
④次世代Cordaについて
最後に、弊社社員エンジニアリング部部長の生永より次世代Cordaが実現する主な内容について話させて頂きました。
次世代Cordaは何ができるのでしょうか?
ここでは顧客の立場になって、疑問にお答えいたします。
主なCorda4からのレベルアップ点は以下の表にもある通り、
①高いパフォーマンス②高可用性③運用コスト削減
の3つが挙げられます。
パフォーマンス向上
Corda4とは異なり、KafkaやKubernetesのようなクラウドネイティブな技術で構築できるようになった今、Cordaはもはやハードウェアにとらわれることなく、水平方向に拡張することができ、より高いパフォーマンスを発揮することができます。
高可用性
次世代Cordaは、インフラストラクチャーコンポーネント(データベース、Kafka)およびCordaワーカーの潜在的な障害に対して、より優れた耐性を発揮します。
運用コスト削減
新バージョンのプラットフォームは、スケーラビリティと総所有コスト(TCO)の削減が可能になります。
CorDappの構築は、より安く、より簡単に、より早くできるようになるでしょう。そして、全体的なメンテナンスは、4と比較して少なくなるはずです。
次世代Cordaに関する情報ソースについては、こちらのページにまとめておりますので、是非ご活用ください。
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