スイスのCorda採用事例を元に、STOプラットフォームはどうあるべきかを理解する
はじめに
SIXグループが運営するスイス証券取引所はデジタル証券取引プラットフォームの基盤としてニューヨーク発のテクノロジー企業R3社が提供しているブロックチェーン技術であるCordaを採用する。この構想がSIX Digital Exchange(SDX) とよばれる構想である。
※SIXはSwiss Infrastructure and Exchangeからとったものと言われている。
構想概要
この構想はデジタルプラットフォーム上での証券発行(STO)からトレーディング、決済、カストディまで非常に幅の広い範囲を網羅する構想であり、デジタル化された既存の金融資産とデジタルネイティブ資産の両方の取引を、規制にそった形で提供する初のプラットフォームになることを目指している。
スイスの銀行がプライベートバンキングに強みを持っていることはよく知られているが、プライベートバンキングによって預かった資産を有価証券などで運用するため、スイスの銀行には資産運用を極めて重要視する銀行が多い。UBSやクレディスイスがその代表だ。こういった背景があってスイス証券取引所も市場の革新を進めている。
多額の運用がなされる市場だけにブロックチェーン技術活用により業務効率が向上すればオペレーションコスト削減や有価証券担保の流動性の向上による資本コストの削減で銀行、発行会社などの取引当事者が享受できるメリットが大きいという訳だ。これがスイスが行政を挙げてブロックチェーン技術を推進している一つの理由と言える。
システム構成などは当然のことながら公開されていないが、STO(IDO)プラットフォームのノードを設け、そこに発行会社、投資家、カストディアンなどを接続させるプライマリーマーケットとオーダーマッチング機能を持ったノードを用意してそこに投資家、ブローカー、ディーラーなどを接続させるセカンダリーマーケットの双方を準備する構成ではないかと考えられる。
またスイス証券取引所がスイスフランにペッグしたステーブルコインの開発に取り組んでいるとの報道が一部メディアでなされたが、これはSDX構想のDvP決済などでの利用を想定しての事ではないかと思われる。
SDXは早ければ2019年内にパイロットモデルの運用を開始するとされている。
参照:https://www.coindesk.com/swiss-stock-exchange-six-lists-ethereum-etp-for-trading
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