Cordaを用いた債券貸借取引における流動性や担保管理を行うプラットフォームの概要
事例概要
HQLAxは、世界の証券貸付およびレポ市場における機関投資家向けの流動性資金管理および有価証券担保管理ソリューションの提供を専門とするルクセンブルクのフィンテック企業だ。ニューヨーク発のテクノロジー企業であるR3社が提供するブロックチェーン基盤Cordaの技術を利用して、有価証券の所有権を譲渡することを可能にすることで有価証券担保の流動性を向上させオペレーションにかかる効率を高めるソリューションである。
R3社のホームページによるとコントリビューターとしてCIBC、コメルツバンク、クレディスイス、ING、UBS、ゴールドマンサックスなどが名を連ねている。
国際金融規制改革の進展に伴い、OTCデリバティブの流動性、清算、および証拠金要件に関してバーゼル規制などが施行され、適格流動資産(HQLA)に対する需要が大幅に増加した。結果として、世界規模の金融エコシステム全体で大規模で効率のよい有価証券担保譲渡を促進するための市場が以前にも増して必要とされるようになったのだ。
伝統的な有価証券担保振替の主なコスト要因とハードルは、資本コストと細分化された証券決済システムを通じた証券のデリバリーと決済に関するコストだ。 HQLAxの背後にあるビジョンは、有価証券担保を利用した流動性移転のために新たに効率が高く、透明で、より費用対効果の高い市場を創出することである。
HQLAx は銀行などの取引主体や信託銀行などのカストディアン、取引市場がそれぞれHQLAxノードを持ち、分散台帳技術を用いてDCR(Digital Collateral Records)を記録する。DCRはカストディアンによって安全に保管されている証券のバスケットを代替する。 DCRの交換は、DCRを構成する原証券の法的権利の移転に影響を及ぼし、それによって実際の有価証券を移動するという面倒な手続き無しに流動性資産の移転を可能にするのだ。さらに規制当局もHQLAxノードを持つことにより、監督機関がリアルタイムで監査情報などを把握することができるようにすることも可能だ。
ドイツ取引所は証券貸付のための新たなプラットホームとしてHQLAxの技術を採用することを2018年に発表している。
出典:
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