Cordaが最もフィットすると筆者が述べるシンジケートローンの事例について学ぶ
はじめに
本記事では、ブロックチェーンプラットフォームであるCordaの設計・開発を行っているR3社のCTOであるリチャード・ブラウンの記事を和訳・再構成し、Cordaが最もフィットするユースケースについて知識を共有する。
※本記事は下記の文章をもとに作成しておりますが、内容を保証するものではありません。また筆者の英語力の限界のため、訳がよくわからないところもあります。
シンジケートローン業務はCordaが最もフィットするユースケースの1つ
リチャードブラウンは記事において、Finastra(Cordaを使ったシンジケートローンプラットフォーム Fusion LenderCommを開発・販売している会社)を例にあげ、
シンジケートローンはCordaにとって完璧なユースケースだ
と述べている。
というのもCordaの基本思想である「私が見ているものは、あなたが見ているものである」を体現したものであるからだ。
シンジケートローンとは
シンジケートローンとは日本語で協調融資といい、 複数の金融機関がシンジケート団を組成して、各金融機関が一つの契約における同一の契約条件に基づき行うローンである。借り手は多額の資金を調達することができ、金融機関にとっては貸し倒れリスクを分散させることができる。
そんなシンジケートローンであるが、実際の貸し出しに関しては非常に非効率な業務が行われている。以下の図はシンジケートローンのイメージ図である。
図のようにシンジケートローンは通常の1対1の融資に比べ、関係者が多くなる。そのため、条件交渉や融資事務が非常に煩雑になる(決算書の郵送orFAX、電話&FAXによる照会、契約書のメールでのレビュー&修正etc…)。
ではなぜシンジケートローンがフィットする?
この点に関し、リチャードはシンジケートローンには以下の特徴があるため、Cordaが非常にフィットすると述べている。
・ある目的のため、互いに取引したいが、互いに完璧に信頼していない。それでもなおすべての取引についての見解に矛盾がないことを知りたいという参加者のグループがあること。・集中型のデータベースを構築することも技術的には可能であるが、商業的または政治的に望ましくない。
・プライバシーの観点から、情報は知る必要のある組織と組織間のみで共有されるべきである。
・複雑な企業間ワークフローがあり、それは多数の交渉、調整が必要になる。
・上記に関連して、元帳のどの更新が有効であるかについての規則が存在する:予想される支払いであるか?金利は正しく計算されたか?
・知っている相手と取引をしている:参加者は現実世界に実態を持っており、自分たちが誰であると思うかについて話していることを気にしている。
・取引は(パブリックブロックチェーンのように)確率的ではなく、リアルタイムで処理され、最終的に確定することが必要。
おわりに
シンジケートローンに限らず、上記の特徴を持つ業務であるならCordaは非常にフィットするであろう。例えば貿易や保険分野等である。
そしてリチャードは締めの言葉として以下のように述べている
まずどのような情報を共有しようとしているのか、どのような会社間調整の問題を解決しようとしているのか書き留めてください。そして誰が何を共有する必要があるのか明確にしましょう。誰が何をいつどのような目的で受け取るべきですか?誰がそれを送るべきですか?更新の検証方法はどのような規則によって決定しますか?誰が取引を検証しますか?それらには何がありますか?それらは何を意味していますか?そして最後にあなたがが以下の質問に対する答えを持っているか確認してください:なぜ今までの中央集権型のデータベースではそれができなかったのですか?
<ご質問・ご要望の例>
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- 企業でのブロックチェーン活用方法を教えて欲しい 等々