Solanaが勝者となりつつあるのは、非技術的な優位性だけでなく、安全な「標準実装トークン」の提供がミームコインなどの大量取引を呼び込み、ネットワークをさらに強靭にするという技術的・経済的の好循環を生み出したこと。
R3 LabsのCTPOとして、リチャード・G・ブラウンは、R3がパブリック・ブロックチェーンの第一候補としてSolanaを選定するに至る技術分析を主導しました。本稿では、彼の決断を決定づけた、@solana の4つの重要な設計思想について解説します。
Blu-RayがHD DVDに勝った本当の理由
まずは雑学クイズです! 2000年代後半に登場した高画質DVD規格、技術的に優れていたのは「Blu-Ray」と「HD DVD」のどちらでしょうか?
「Blu-Ray」と答えましたか? ブブー、不正解。
では「HD DVD」でしょうか? 残念、それもハズレです。
正解は、「誰もそんなことは気にしていない。重要なのは、どちらが勝ったかだ」です。
正直なところ、私にはどちらのシステムが優れていたのかさっぱり分かりません。しかし、Blu-Rayが勝ち、なぜ勝ったのかは知っています。ソニーがPlayStation 3に最初からプレイヤーを搭載したから。それだけです。技術的な設計とは何の関係もありません。
往々にして、技術的な優位性だけではプラットフォームの勝敗を説明できないものです。これは、ほとんどの技術者にとって受け入れがたい、苦い教訓です。そして、これを理解できない技術者は敗れ去る傾向にあります。
ですから、なぜR3がこれほど全面的にSolanaにコミットしたのかと聞かれたとき、私はいつも非技術的な理由から話し始めます。活気あるエコシステム、圧倒的な取引量、開発者コミュニティ、強力なプロジェクト文化、そしてリーダーシップ。これらこそが、成功を左右する第一の要因だからです。
しかし、この「圧倒的な非技術的優位性」を持つプラットフォームが、同時に「圧倒的な技術的優位性」をも兼ね備えていたとしたら、特別なことが起こります。この2つのレバーが噛み合ったとき、絶大なインパクトをもたらすことになります。
非技術的優位性を裏付ける「本物の技術」
R3の戦略進化の一環としてパブリック・ブロックチェーンを評価した際、私は当然、その基盤となるテクノロジーにも細心の注意を払いました。これまで語ってこなかった――今初めて明かす――ストーリーがあります。それは、Solanaというプラットフォームが、「非技術的な優位性という名の小切手を、基盤技術という名の現金できちんと決済できる」、極めて稀で特別なケースであると気づいたことです。
今週は、私がSolanaを推薦する技術的根拠となった、Solanaプラットフォームの「トップ4」の技術的優位性について解説していきます。
技術的優位性 #1:インターフェースではなく、標準化された「実装」
連想ゲームをしましょう! 私が「トークン規格」と言ったら、あなたは何を思い浮かべますか? Ethereum(イーサリアム)に詳しい方なら、おそらく「ERC-20」のような言葉でしょう。
ERC-* 規格は素晴らしいものであり、EVMエコシステムの成功の鍵を握ってきました。しかし、あまりにも当たり前すぎて見落とされがちな事実があります。それは、これらが「インターフェース(共通の窓口)」に過ぎないということです。これらは、そのインターフェースを導入したコントラクトと対話するための共通ルールを開示しているだけです。つまり、各コントラクトの中身(実装コード)はそれぞれバラバラだということです。
一見、これは完璧に思えます。共通のインターフェースを持ちながら、あらゆるビジネスモデルに合わせて多様な実装ができる。これぞまさに、コンピューターサイエンスの授業で習う理想の形ではないでしょうか?
しかし、パブリック・ブロックチェーンという「敵対的な脅威(ハッカーの標的)」に満ちた環境において、この仕様は実務上で重大な問題を引き起こします。「インターフェース優先」のブロックチェーンでは、すべてのトークンが舞台裏でそれぞれ異なるコードを実行している可能性があるからです。
ERC-20トークンのコントラクトで transfer() を呼び出すとき、ソースコードを1行ずつ精査しない限り、裏で実際に何が起こるかは分かりません。友達のウォレットにトークンを送っているつもりが、攻撃者に全額吸い上げられているかもしれないのです。
つまり、ほとんどのパブリックチェーンでは、新しいトークンが展開されるたびに注意深く調査しなければなりません。そのすべてに、バグや悪意のあるコードが仕込まれている可能性があるからです。
Solana流:徹底された「実装オリエンテッド」
ところが、Solanaのやり方は完全に異なっていました。トークンに関して、Solanaの文化は「インターフェース基準」ではなく、「実装オリエンテッド(実装重視)」なのです。
Solanaのエコシステムは、徹底的に標準化され、厳格な監査を経た2つの「トークンスマートコントラクトの実装」に投資してきました。
- 通常のトークン用(ERC-20に相当するシンプルなもの)
- 「拡張版」(許可設定、機密性、その他の高度な機能が必要な場合用)
驚くべきことに、Solana上のほぼすべてのトークンがこのインフラをそのまま使用しています。トークンを作るときに、破滅的なプログラミングミスを心配する必要はありません。標準の実装をそのまま使えばいいのです。
さらに重要なのは、ユーザー側も「この開発者に資金を盗まれるのではないか」と心配する必要がないという点です。DeFiがさらに高度化するにつれ、このメリットは複利的に膨らんでいくでしょう。最近のトークンは、ERC-20規格では対応しきれない高度な機能を必要とすることが増えており、それがハッキングの隙(脅威対象領域)を広げています。一方で、Solanaのトークンは単に「Token Extensions(トークン拡張プログラム)」を利用すれば済みます。(注:Token Extensionsでも一部の限定的な目的でカスタムコードの使用は許可されているため、あらゆる状況で完全にリスクフリーというわけではありませんが、大幅な改善であることは間違いありません)。
この設計思想は、安全性と生産性の観点から、エコシステムにおける絶対的な「フォース・マルチプライヤー(効果を何倍にも高めるもの)」となっています。しかしそれ以上に、現在のSolanaの驚異的なパフォーマンス向上を支える「ある現象」を引き寄せる、決定的な扉を開くことになりました。
ミームコインがもたらした、ネットワークの最強のストレステスト
その現象とは、ミームコインをはじめとする大量のトークン発行と取引です。Solanaがトークンの「標準化された実装」を持っていたからこそ、ミームコインの大量発行と取引の事実上のメッカになることができたのです。もし、すべてのミームコイン発行に正式なセキュリティ監査が必要だったとしたら、どうなっていたか想像してみてください。
暗号資産市場のこの領域(ミームコイン)に対して、少し「鼻で笑う」ような態度を取るのは簡単です。しかし、Solanaが新しいトークン発行の圧倒的多数をキャプチャできたからこそ、それに伴う「常軌を逸したレベルの長期的なネットワーク負荷テスト(ストレス・テスト)」の恩恵を直接受けたのはSolanaだったのです。そして、継続的なパフォーマンス改善の資金となる手数料を稼ぎ出すことができたのもSolanaでした。
要するに、Solana独自の「実装ファースト」のトークンアーキテクチャがミームコインを可能にし、そのミームコインがインセンティブと手数料をもたらし、さらなるパフォーマンス向上とイノベーションの「好循環」を駆動したのです。
技術的優位性 #2へ続く……
今週中に公開予定です、乞うご期待(OPOS:Only Possible On Solana)。
Cordaプロトコルの最新情報は、こちらでチェックしてください:https://corda.xyz/
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SBI R3 Japan ビジネス推進部長
ソリューション(主に金融)の立案・設計
週の半分はカレーを食べてます(2年間インドで修行)、一押しのカレー屋は「よもだそば」
